食生活の欧米化に伴い、女性が罹患するがんは乳がんが一番多くなり、年に8万人を超え、11人に1人の割合で乳がんにかかると言われております。さらに他のがんに比べて若い40〜50歳代に発病される方が多く、乳がんは女性にとって最も注意しなければならない疾患の一つです。また最近では60歳代の患者さんが増える傾向にあり、年齢に関係なく注意すべきと思います。マンモグラフィを併用した乳がん検診により早期発見をすることで再発率を下げることができております。当クリニックでもマンモグラフィ・乳腺エコーを用い乳がんの早期発見に尽力したいと考えており、平成27年3月にマンモグラフィ検診施設画像認定施設を取得し、より良い診断を提供したいと心がけております。
乳がんの治療は局所的治療(手術・放射線療法)と全身療法(ホルモン療法・化学療法・分子量的薬療法)があります。当クリニックでできることは全身療法の一部と限られてしまいますが、深谷赤十字病院、群馬県立がんセンター、埼玉医科大学、埼玉県立がんセンターを含めた多くの病院と十分に連携をとり充実した治療をしていきたいと考えております。
現在、年に1回、講演会を院内で開き、乳がんという病気について、その治療と副作用、最新の情報を提供し、一緒に勉強しております。そのことで皆様の不安をできるだけ解消していきたいと思っております。
やさしいい診療、分かりやすい説明をモットーとして乳がん診療に携わっていきたいと存じます。
A マンモグラフィーは、乳腺・乳房専用のレントゲン撮影を使用した、乳がんを診断する方法のひとつです。
A 乳房を挟みながら圧迫します。上下方向から1枚、左右方向から1枚撮影します。圧迫しても乳房の中のがんが飛び散るようなことはありません。
A 乳房を圧迫しながら薄く均等に広げることで、少ないレントゲンの量で乳房の中をより鮮明に見ることができます。圧迫が少ないと厚みが出て、又、重なってしまいますと、しこりと間違う可能性があります。
A 人によっては、挟むことにより、痛みを感じる方もいらっしゃいます。
A マンモグラフィー撮影の放射線量は、人体に影響はほとんどありません。
マンモグラフィーで受ける放射線の量(1〜3ミリグレイ*)は妊婦のお腹の中の胎児が、(奇形などの)影響を受ける量(100ミリグレイ)に比べると、はるかに少ない量ですし乳房はお腹から離れているので、さらに影響は少なくなります。
*1ミリグレイ(mGy)=0.001グレイ(Gy)
A 触ってもわからない早期の小さな乳がんや、しこりを作らない乳がんなどがわかります。白い影(腫瘤影)や非常に細かい石灰砂の影(微細石灰化)として見つけることができます。良性のものも見つかります。
A マンモグラフィー検査は、できれば視触診と併せて最低2年に1度、できれば1年に1度受けるようにしましょう。
A 1か月か2か月に一回、生理後に触診をしてください。「しこり」を見つけるというよりは、厚みや硬さがいつもと違うどうかをチェックしてください。たとえば薄い敷布団の中に「へそくり」があるような「厚み」を見つけるような気持ちで触ってください。
肩の下に薄い枕や座布団を敷くと調べやすいです。
入浴時に石けんをつけて、腕をあげて乳房の表面に、円をかくようにしてしこりやこぶがないか確認します。
A 急激に大きくなるがんは痛みを伴うことはありますが、一般的には小さながんは痛みを伴いません。痛みだけの場合は良性疾患のことが多いですが、必ず一度は受診してください。